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日本デジタルマネー協会 / ビットコイン / Bitcoin

2015年からのスケーリングを反省する

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ビットコインのスケーリングに関して、改めて、振り返ります。

まず、コミュニティとして、大ブロック派が以下です。https://www.thefutureofbitcoin.com/#speakers

小ブロック派が以下。https://scalingbitcoin.org/event/stanford2017

私が最初に注目した議論が、6/3/2015のGavin Andresen vs Peter Todd。当時は未だGavinの信用が厚かったが、これを契機にGavinはコア開発のコミュニティを追われます。https://www.youtube.com/watch?v=KYWhShzzELg

8/24/2015、東京でもブロックサイズを議論してました。https://www.youtube.com/watch?v=0fMLiCJSS4w

香港合意として、Adam Backと中国のメジャーなマイナーがSegWit & 2MBを合意しましたが、Adam BackはBlockstreamの社長だが、同社のエンジニアは、その合意を無視します。マイナーは面子を失いました。両者の関係は悪くなりました。

再び、3/17/2016、東京での議論。https://www.youtube.com/watch?v=0nNN3k6IBPI

この頃は未だビッグ、スモール共に合意の可能性を探り、平和です。

SegWitは約1年掛けて、開発、検証されて、マイナーの95%以上のハッシュパワーでactivateされる仕様が、ハードコードされて公開されたのが、2016年11月でした。しかし、これがビッグブロック派の反対に遭って、activateされません。一方で、メモリープールが一杯になり、すると手数料の高い順に処理されるため、取引手数料が数百円まで上がりました。https://blockchain.info/ja/charts/mempool-size?timespan=1year

仕様アップグレードであるはずのSegWitのサボタージュが明白となった2/26/2017の解りやすい議論が、Roger Ver vs Tone Vaysです。https://www.youtube.com/watch?v=XdyIJ-BUPaU

以降、事態は進展せず、ライトコインやイーサリウムに開発人材が流れます。更に2017年初以降、Ethereum, ICO, その他アルトコインがバブルとなり、ビットコインの専有率が90%から40%を割るまで低下して、緊張が高まります。

スケーリングのステークホールダーは主に、

コア開発(コードを書き、検証するオープンソースコミュニティ)

XT, Classic, Unlimitedなど、ビッグブロックのプログラマー

マイナー(マイニングをするが、ビットコインを所有して、売却するユーザーでもある)

ユーザー(価格の上下はユーザー次第)

取引所、ペイメントプロセッサ、財布、その他のサードパーティ(手数料増を嫌がるビッグブロック派も多数)

から成る。分散型合意システムは、これらの振る舞いから成る。

事態は、香港合意の2MB&SegWitに対して、NYAとしてSegWitと6ヵ月後の2MB HFが今年5月に提案される。ただし、主に事業者とマイナーの合意に過ぎず、コア開発は会議に招かれたが欠席だった。

また、Lukedashjr, Eric Lombrozo, Samson Mow等のリードで8/1に起動するUASFが提案される。これに対するカウンターとして、BitmainからUAHFが提案される。仮にUASFが発動の場合、従来のチェーン、UASFチェーン、ビッグブロックチェーンの3つが競合して、複雑な事態となる。これを避けるべく、NYAの前半部が、SegWit 80% SFとしてのBIP91がマイナーに選択されて、SegWitがロックインされた。ついに念願のSegWitが、activateされる見込みです。

2017年の2月頃は、漠然とビッグとスモールが妥協して、1つのビットコインブロックチェーンである事を期待してましたが、ビッグブロック派は、ETH&ETCの時価総額は、分岐前のETHの時価総額より高いとして、チェーン分岐を唱え始めます。

チェーン分岐は多様性があって良いと、今年7月、ジハンウーから直接聞いて、ビッグブロック派のチェーン、スモールブロック派のチェーンの2つへの分岐は不可避と判断しました。

個人的体験ですが、この動画を見ても、2チェーンへの分岐は不可避と解ると思います。https://www.youtube.com/watch?v=1KFCc8xBD6Q#t=7m

さて、8/1に、Bitcoinの数パーセントのハッシュレートで、Bitcoin Cashが分岐予定です。これは多数あるアルトコインの1つに過ぎないので、大勢に影響ないと予想してます。ViaBTCのリードであり、ロジャー、ジハン、CSW等が、どの程度のハッシュパワーを投入するかは不明です。

Bitcoin Cashが、大成功して、Bitcoinをリプレースする可能性はゼロではないですが、低いです。その根拠は、開発陣の層の厚みが、コア開発に偏っていて、知的な開発はコア開発と、そのレイヤー2に集中しているためです。一方で、ビッグブロック派はマイナーと取引所は問題ないとして、基盤層のプログラマ、財布、ペイメントプロセッサー、その他サードパーティにとって、魅力ある必要あります。

仮にBitcoin Cashが悲劇的に失敗の場合、ビッグブロック派は、再び、ビットコインのブロックサイズ増大を志向するでしょう。それはコア開発にとって歓迎せざる事態です。https://twitter.com/petertoddbtc/status/891074177154895872

つまり、8/1に発生するBitcoin Cashは要注目のアルトコインですが、現時点では、大きな影響を持たないと思われていて、NYA後半部として2MB HFが、再び議論される可能性高いです。

コア開発は、2MBが必要な時期が来るとは言っているため、2MB HFの想定時期と、それに付随する更新項目を明示すると、不要なコンフリクトを避けられますが、コア開発は、これまでの彼等の振る舞いから想像すると、それは不要と突っぱねる可能性高いです。

分散型合意システムは、サトシナカモト設計のビットコインが初の事例で、前例ない事例ばかりで、大変ですが、それが面白いとも言えます。

ところで、一流の開発者と果敢に議論するロジャーは天晴れですが、言いたい事を言うだけでは、相手は納得してないです。https://www.youtube.com/watch?v=JarEszFY1WY

いずれにせよ、SegWitのactivateは、めでたく、レイヤー2の開発を頑張りましょう。レイヤー1はシュノール署名などやってます。

以上

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